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拳友時報445号「シリーズ・宗家に聴く(壱)」~組手には人命尊重の「道」が必要~①

拳友時報445号「シリーズ・宗家に聴く(壱)」~組手には人命尊重の「道」が必要~①

 

□子供の組手試合に潜む危険性

 

記者)錬心舘では高校生未満の子供たちに組手試合を行わせない決まりです。

 

この方針は今後も変わることは無いのでしょうか?

 

宗家)現状、他流派では、小学生に組手試合を行わせるところがほとんどです。

 

しかし、錬心舘は創立以来の信念に基づいて、今後も子供たちに組手試合をさせることを良しとしないでしょう。

 

記者)創立以来の信念とは?

 

宗家)青少年の健全育成に不可欠な人命尊重の考え。

 

普段の生活においては空手を喧嘩や暴力に使ってはいけない。

 

人に打たれず、人を打たず。

 

自他を傷つけぬことこそ空手道の原点です。

 

自分や自分の大切な人たちの正義を守るための空手道でないといけない。

 

人命尊重の考えが抜け落ちた空手はもはや武道ではなく、単なる暴力に成り下がってしまうでしょう。

 

記者)強くなって欲しい…、護身術を身に付けたい…といった思いから、子供たちに組手試合をさせたいという指導者や保護者からの声はないですか?

 

宗家)そのようなことを要望する指導者や保護者がいたとしたら、良く考えて欲しいと思います。

 

成長期にある子供たちに強い打撃を加えると、筋骨・内臓・首などに多大な悪影響を与えかねない。

 

これは、医学的な見解でも明らかに指摘されていることです。

 

もしも組手中の打撃がもとで身体に不自由が残ったとしたら、だれが責任を負うのでしょうか?

 

組手を勧めた指導者ですか?加害者の保護者でしょうか?

 

被害者の保護者は、長きにわたり介護の負担を背負うことになり、被害者はもちろんですが、加害者の幼い心にも大きなダメージが残ります。

 

ちょっとそのようなことを考えただけでも、子供たちに組手をさせることが危ういことであることは想像できます。

 

記者)他流では防具・プロテクターを着けて行えば大丈夫といった意見もありそうですが?

 

宗家)防具があるから100%安全かというと必ずしもそうではない。

 

そもそも錬心舘の特技、回し蹴りなどは強力な破壊力があります。

 

子供たちの未発達な身体には、防具の上からでもダメージは残るでしょうし、攻撃する側も未発達な身体で技を繰り出せば、筋や関節を損傷しかねません。

 

錬心舘では、少年少女、一般初心者に対しては型や約束組手の練磨に重きをおいて指導いたします。

 

空手の基本的な技や姿勢を身に付けるだけでなく、型に含まれている様々な技法の特徴と意味を正しく理解し、組手などへの実践応用に必要な空手独特の身体動作を身に付けます。

 

同じ型を繰り返し繰り返し練習する。

 

そうすることで、我慢強さや忍耐力を養い、師弟や仲間との絆も深めてゆきます。

 

身体とともに心を養ってゆくことが錬心舘の空手には重要なのです。

 

 

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