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ティージクンの考察

【ティージクンの考察】※本部流のブログより引用

本部朝基の『私の唐手術』(1932)に、「拳骨(テージクン)の握り方」という一節がある。

テージクン、より正確に方言の発音どおりに表記すると「ティージクン」は、日本語の拳骨、拳(こぶし)の意味である。

 

「拳骨(テージクン)の握り方」、本部朝基『私の唐手術』より。

 

さて、このティージクンという語は、冊封副使・徐葆光(じょほこう、1671-1723)の『中山伝信録』(1721)にすでに記載されているのである。

そこには中国語の「拳頭打」が琉球語では「蹄子拱」と発音すると書かれている。

 

中国語の拳頭は日本語の拳(こぶし)の意味で、したがって拳頭打は「拳で打つ」の意味である。

では、蹄子拱は何と発音するのであろうか。専門家によると、以下の通りである。

 

丁鋒「『中山伝信録』「琉球語」・「字母」の対音解読」より。

 

カタカナで表記すれば、蹄子拱は「ディツクン」であろうか。

これが方言の「ティーツクン(手突く)」に対応しているわけである。

丁鋒氏によると、『中山伝信録』の対音(対応する中国語の発音)は、官話音(標準語の発音)ではなく、主に徐葆光の出身地の方言音(蘇州音)だそうである。

 

さて、筆者は手ツクミ→テーツクン→テージクンと音韻変化したと、前々回の記事で書いたが、この仮説が正しいとすれば、この音韻変化はすでに1721年時点で、手ツクミ→ディ(ティ)ツクンと、半ば発生していたわけである。

 

また、播相『琉球入学見聞録』(1764)にも、「拳頭=蹄子拱」とある。

播相は、北京の国子監の教官で、琉球からの留学生(官生)を教えた人である。

多和田眞一郎「「琉球入学見聞録」「土音」の音訳字」によると、蹄子拱は日本古語の「てづかみ?(手拳)」と推測している。

 

 

一方、上の丁鋒氏は『琉球入学見聞録』の蹄子拱を下記のように推測している。

丁鋒氏によると、播相の出身地は中国南部の湖南省安郷県で、この書物は「中国語発音は北京音を中心としながら、安郷方言音の影響も受けている」という。

 

丁鋒「『「琉球入学見聞録』における寄語の対音」より。

 

カタカナで表記すれば、蹄子拱はティチクンであろうか。丁鋒氏はやはり方言の「ティーチクン(手突く)」に対応しているとする。

 

筆者の私見を述べると、多和田眞一郎氏が書いているように、もともと日本古語の「手づかみ(手掴み)」が琉球に入って、「手つくみ」となり、さらにティーチクン→ティージクンと音韻変化していったのではないであろうか。

この過程で「手で掴む」という元の意味が、「手で突く」と意味が変わり、さらに「拳骨」の意味に変化し、そこから「武術名」としても派生したのであろう。

 

筆者は、以前「手ツクミ」は「手で捕まえる」の意味の「手ツカミ」が語源ではないかということを記事で書いた。

そのときは、上の多和田氏の論文は知らなかったのだが、案外デタラメな推測でもなかったわけである。

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