構え考
【構え考】
「まるふじ文庫」のブログのより引用しました。
https://blogs.yahoo.co.jp/marufujibunko2015/28018438.html
【構え】考
当文庫で現在所蔵しているそれぞれ年代の違う捕手術(捕縛術)の伝書5巻にある古流「無刀取り」の構えである。
古流では両手を前に出して構えることはなく、現代の空手のような前屈立ちに近い構えで両拳を前に突き出すことはしない。
最近の空手の構えも「カニ型」が主流になってきて前屈立ちの半身の構えより、四股立ちの真半身で構えることが多くなったが、これは前屈立ちが正面への直線的な攻防にとらわれるのに対し、四股立ちの構えは両足の比重を等分に置くことにより、前後左右の攻防に対応できるという利点がある。また拳を前に出さないで両手を下げた「無構え」により、相手が武器(得物)を持っている場合には間合いに入って自分の小手を攻撃されることがなく、体捌きするのが容易なために体軸の動きに変化を持たすことができる。
少林寺流空手道錬心舘の防具付き組手試合における構え。
両手を下げての構えは、従来の空手の構えでは見ることができない。
この構えは錬心舘初代宗家であった保勇(たもつ いさむ)氏が、従来の直線的な動きに始終していた無防具(寸止め)の組手に対し、防具を付けての回転技、飛び蹴りへの攻防に即して必然的に古流の構えを取り入れたため、ほとんどの選手が同様の構えをとる。
また錬心舘では対複数、対武器に対しても対応できることに主眼が置かれていることに特徴がある。
(前屈に近い立ち方は一対一の正面の相手に対しては強いが、背面や側面の複数の相手に対しては変化に乏しいという欠点がある)